つれていく

ゆっくりと唄を
うたっていた

あの人は
地下鉄の
通り過ぎる規則的な光と

母親のような
匂いのする

ああ

煙草を吸って
騒いで

夜中に近づく雰囲気を
見つめながら
集中力を増していく

あなたには
敵わない

女の子達も少し歳をとって
一緒にまたお酒を飲んだ

絶望の唄が好きだったよね

少年がギターを背負って
終点

そう言われて
また
何もできないけれども
少し緊張してしまって
河原に金色のススキが
晴れているからね

寒い寒い旅路を急ぐ

酔いが覚めても
心の火種は生きる

唄声を聞いて
地下鉄の光と
凍る晴れ間と
嫌いな人を少しずつ溶かして
いく

母親のような匂いのする
愛しいウタウタイ
そんなに優しく
してほしい

投稿者

東京都

コメント

  1. 日常の場面と語らいが視えるようです。

    素敵でかっこいい「あなた」を、想像します。

    僕も胸に火種を秘めて生きたいです。

  2. 女性のウタウタイを、ふと想像してみました。包み込むような歌声と、ギターの音色を。

  3. @服部剛 さん
    ありがとうございます
    心の火種を絶やさなければ
    小さくとも
    必ず、また、歌えます

  4. @長谷川 忍 さん
    ありがとうございます
    ウタウタイが夕日に歌っている
    今年も終わります

  5. 那津さんのよく行われる手法として、文章の中の主語や目的語や接続語などいろいろなパーツを欠落させる、その空白には読者の想像が入り込み、詩人と読者の共同作業によって詩が完成するというものがありますね。そこに、はじめから完成された散文を読むのとは異なる詩情が生まれるのですね。

  6. コロナ禍前の光景が蘇ってくるようなシーンですね。
    母親のような包容力のあるウタウタイの歌の灯火は、時代が変わっても聴衆の心に明かりを点しているかのようです。

  7. @たかぼ
    たかぼさん
    いつも、ありがとうございます!
    今年も宜しくお願い致します

    どうしても拭えない染みついた輪廻のような心の蟠りを溶かすには
    自分なりの描き方を極めようとする行為以外にないと、考えています

    ありがとうございます

  8. @渡 ひろこ
    渡さん
    いつも、ありがとうございます
    その灯火を探す行為を
    いつまでも続けていきたいです!
    ありがとうございます

  9. 少年と愛と
    母性と地下鉄の暗さ

    いつもやさしくあってほしい

  10. @イチカワナツコ さん
    いつも、愛とウタと母親と
    やさしさ
    それらが切なかったり、辛いところで癒してくれる
    誰にも愛されない鳥が
    冷たい夜に静かに飛んでいく

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