典子・懲罰
世界が表面には照らされている
それからしばらくは、虚無である
ボーダーラインの典子が貧弱なライオン
消灯時間のダルメシアン
枕は沈下する擬陽性のまま
シャスターデージーのまま夜の飛行部隊が
香る草原の色合いとしての
パジャマのままで歯磨きライオン
収監された犯人たちの喉はさびしく開かれる
隠し持たれている核のボタン
直接する世界の終焉と言う幻想
典子の手紙がわたしの耳に届くのだろう
鼓膜の奥のでんでんむし
ピューリタンの儀式はうす暗く
ココナッツが猿たちにふるまわれる
やけどするような鉄板の挨拶
哨戒艇はあぶくたった
ビルとビルの間を飛ぶ彼等の声は
たちまちに驟雨となる
健康の城よ!
ふたたびもどり来る震災の夜よ
典子は死んでしまった
典子のために、わたしは歌おう
はぎしりの歌、ぎりぎりの歌
蝶感する昆虫たちの青菜の歌
パリっ子のあけすけなファッションのヒール
だぼだぼ、ずだずだ、べだべだ、
鳥海山の裾野の黒い石
焼けた都市の姿のままで
典子は立っている。
コメント