何も知らないからこそ

或いは広々とした海のように
または雨粒の落ちてくる
破れた空のように―どちらも
自然から成り立った分別―

次の瞬間の形態など　誰が
予想可能であろうか？　何も
知らないからこそ　われわれは
果断になることができる

しかしそこには脈絡はある
連綿たる時間の領域の裡で
区切ることなくその連なりを
活かすこと―明日への第一歩だ

この夕焼けが明朝の好天を
約束するとしたらどうだろう？
きっと明日は報いてくれる
それが天との契約だろう

雨に濡れるという　朝日に
輝くという　いずれにしろ
われわれが受け持たねばならぬ
現実のありのままであろう

それを喜ぼうではないか
どこかに希望が落ちていれば
その希望の石は温かい　その
温度を体温に近づけよう