古代魚

咀嚼する古代の魚
メスを持ち、開腹する手術台の上で
なにがしかの映画のアイデアを披露する
するどい歯で小魚たちを噛み殺すのは
あたり一面の水芭蕉である
その方向性はまちがってはいない
巨大水槽の奥行について、光による探査をするから
地球規模の海水の移動が招く、洪水か濁流のようなもの
パピルスに記帳するスメール人のように
過去的映像から甲殻魚の生態を知ろうとする
反省的心不全による横隔膜の痙攣を知るべき時に
叱られている子供たちの喉を調理する
わたしの猪飼する傍若無人たち
化粧水が水銀灯に溺れようとする
なまなかのコンクリート菓子
評価値の基準となるべき水羊羹の正しい切られ方
侍のベーゼ、腰の刀は邪魔になる
そして月の夜のボウフラがタクシーを止めようとする
哀れひとびとは狭き公衆衛生の貧血をよそおう
旅人の樹は申し送りの助命嘆願書に記載する
そしてもしそれが憂いを帯びて退けられるのなら
ホースの丘、モリエールの腹心の部下
松明をかざして
モリオオガエルを迎え撃とうではないか
百年に一度の満月の寸断
私は表現できていない
音戸とる公証人の指輪の大きさを
テオは知る
モジリアーニも
そして
放たれる古代魚も。

投稿者

岡山県

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。