すでに消化された春と言うもの

きわめて独立性の高い、シンボルが都市の上空に、ひるがえる
このことはすでに我々には了解されている
きわめて浸透性の高い、キャデラックが蟻塚に、隠されている
聴診器で描かれた戦場の困難と言う図形を
簡単便利な配達方法で股間に装填する
タキシードであいさつに来る隣の住民の膵臓形態
森と定員の不足から、シャングリアは方解石として登録される
かくなるうえは、君もまた方針を転換しようではないか
バラモンの纏足から、兄弟愛の銃身へと
はかりしれない恋の総重量を比較検討する場合には
タジキスタンの砂の城から申請用紙が必要である
通行手形の信仰の欄に、タンポポと書き給え
役人の肩に永遠に止まっている白い蝶は生きているのだよ
そしてこんがりと焼き上がったこのビスケットの表面が月である
あじけない海底火山の噴火から逃れるようにして
ハックスリー君はテニスコートに現れた
ちょうど僕が手首をカットした時であっただろうか
流れるよ、流れ出るよ、流星のように
ラケットを持ち、手首をハンケチで押さえ
ハックスリー君へのサーブを打とうではないかこの春の終わりに
やあ君、消滅する大河のほとりにて
愛はどうにも気恥ずかしいものだね
それでも君は
愛していると言う。

投稿者

岡山県

コメント

  1. Huxleyと言えば、私の場合、三人思い当って、進化論のトマス、素晴らしき新世界のオルダス、神経生理学のアンドリュー。どのハクスレーでも消滅する大河のほとりで愛を語るにふさわしく感じられます。釈迦がそのほとりで悟りを開いた河が干上がった底に残った堆積物を我々は詳しく観察して愛の組成について語る。イギリス人の科学者らしい、皮肉な口調で。それでも、そしてまた愛が流れ始めることを願っている、信じている。

    あ、でも、この作品に出てくるハックスリー君が誰かを聞きたいわけではないので。勝手な感想です。

  2. テニスに興じる人たちは、その運動が文化人類学を進歩させているとは、まったく気づかないでしょう、しかしテニスの為の多くの時間が、博物学にも関係しているし、ときには、宇宙工学にも影響を与えている、だから詩もまた、多くの河川の改修計画の為に、今日も種々の貢献をしているわけです。

コメントするためには、 ログイン してください。