1829

自分に居場所があるとき、誰かの居場所を埋めて
誰かを助けるとき、それ以外を見捨て
1829のとき、それ以外の無限ではなくて
友人のとき、恋人になれなくて
人であるとき、人以外になれなくて
ここにいるとき、そこ以外にいなくて
誰かを思いやるとき、自分を顧られなくて
世界を見ているとき、自分を見られなくて
神を信じるとき、誰も信じられなくて
無我のとき、自我がわからなくて
全知全能のとき、無知無能になれなくて
住処があるとき、そこ以外に帰られなくて
伴侶に愛を誓うとき、それ以外を愛せなくて
生きているとき、死んでいない

投稿者

神奈川県

コメント

  1. エッセンスとして1829を使うアイデアのお洒落さったらないですね。あたりまえのことだけど、改めて言われるとハッとさせられました。

  2. 作者の鋭いまなざしとこの詩の強度が融合していますね。
    誠実に世界と向き合う作者に乾杯です。

  3. 「無知無能になれなくて」で字余り的なブレーキかかるのがこの作品の
    象徴的な何かであるような気がして繰り返して読みました。好きな箇所。

  4. わ、かっこよ!って思いました。
    “それ以外の無限ではなくて”
    数字を意味のあるものに仕立てる巧みな書き方に感嘆しました。

  5. @トノモトショウ
    ありがとうございます。
    哲学書を読んでいて、私もハッとしたので詩という形で共有させていただきました。

  6. @こしごえ
    ありがとうございます。
    理系なので見たまま感じたままを言葉にしてしまいます。
    それを自分の限界だと考えていたのですが、肯定的に捉えて頂けてとても嬉しいです。

  7. @足立らどみ
    ありがとうございます。
    その一文は挿れるかどうかを悩んだ箇所でありました。
    結果、好きと言ってもらえたのでしばらく幸せに生きていけそうです。

  8. @たちばなまこと
    ありがとうございます。
    1829を見た時に、数字を分解するのか、何かを当てはめるのか、スカラーとして扱うか、ベクトルとして扱うか…
    凝り固まった頭で悩みましたが、
    かっこよ!
    で報われました。

  9. 肯定の裏側には、絶えず、苦味、哀しみがあるのかな。読後、そんなことを想いました。物事には、表と裏があります。裏があって、生きるということが成り立っているのかもしれません。

  10. @長谷川 忍
    ありがとうございます。
    そうかもしれないですね。
    生き物は行動によって生かされていますが、善悪は区別しませんからね。

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