めぐる季節

思い出はいつも綺麗
茜色に染まった夕日のように
儚いから美しい

出口の見えない辛い日々も
いつしか色づき、懐かしい記憶として
一つの物語の挿絵のように
おさまっていくのだろう

東京駅から地上へ出て、青空を見上げると
急に眩しさと懐かしさで立ち止まった
いつか見た空と同じ
だけど10年前の私が見上げた空とは
少し違うように感じる

未来があるということは
どのくらい尊いことか
今はわかる

10年後の私が見上げる空は
どんな風に映るだろう

変わらないような気もするし
澄み渡る青空とそこに息づく命の輝きを
もっと愛おしく
感じるかもしれない

奏でている人の心に触れるような
素晴らしい音楽を聴いていると
時が一瞬止まるような感覚になって
いつまでもこの時間が
終わらなければいいと思う
前は、次へ次へと進もうとして
こんな風に思わなかった

最期はこの曲を聴きながら逝きたい
そんな風に思った自分にふと気づき
笑ってしまう

まだまだそう簡単にこの世におさらばは
できないが
そんな自分に気づくようになった今を
もがきつつ楽しんで
今の私の心に映る景色を
言葉や写真や音楽にして
風のように届けたい

めぐる季節の中で
これから出会う誰かに

投稿者

東京都

コメント

  1. 拝読させていただきましてコメントを失礼致します。
     一読致しますと各連の流れに、澄みとおる血汐の様な
    筆の力を感じます。作者の、傾きのない眼差しに共鳴し
    再読してしまいます。
     いつも、暮らしの「日常」という時の流れの、側に
    いて欲しい詩人さん、ayami 様は私にとって…そんな
    存在だなぁ!と、作品に触れるたび勝手に実感しては、
    想いふけるリリーなのです。(o^^o)

  2. @リリー
    リリーさん、日常の中から生まれる詩に共鳴して頂き、嬉しいです(^^) 詩の奥にある思いのようなものを感じてくださり、貴重なコメントをありがとうございます。

    詩を書いているといつも同じようなテーマが繰り返し出てきてしまうのですが、
    リリーさんのようにもっといろいろな世界が詩で表現できるといいなあと思います。リリーさんの作品も楽しみにしております。

  3. “東京駅から地上へ出て”からのエモーショナルがまさにメロディのように記憶をくすぐります。
    きっと誰かに会えそうです。

  4. @たちばなまこと
    たちばなまことさん、嬉しいコメントありがとうございました。東京駅周辺の景色は、懐かしい記憶が蘇る人が多いかもしれませんね。地上へ出たあの感じ、メロディように記憶をくすぐるという表現も素敵だなあと思いました。誰かに会えそうな前奏が始まっていくイメージでした。

コメントするためには、 ログイン してください。