複色のばら
稚くて
美しくて
二人には白い花びらの開き切らず咲く
真ん中だけ ほんのりピンク色に染めた
薔薇が似合う
交わす口づけもさわやかに愛を誓い合った
いつか二人は大人になり
何ということはなく
涙も出さず 別れていった
むかしむかし
なおそのむかしから
それこそ どんな片隅にでも
ころがっていて繰り返される話
だが、
そんな 何でもないお話が
ふと人の道をあやまらせる
細い 細い 道だから
後もどりの出来ない道だから
苦い涙をのみこんで
鏡の中の自分をいとしみながら
こんな小さなお話の中に
おぼれさる
どこにでもころがっている昔からの
なんでもないお話
コメント
「ふと人の道をあやまらせる」のところにドキッとして、それが全編に効いている気がしました。
薔薇の季節ですね。近くの薔薇園にも人が賑わい始めました。
私も、「ふと人の道をあやまらせる」のフレーズで、ふっと目が止まりました。童話のような、おとぎ話のような、…寓話のような、不思議な詩の流れですね。
@あぶくも
様へ
あぶくも様、読み取ってくださって嬉しいです!この詩は、ここを、
キーポイントにして書きました。これがなければ、作品は締まりません。
ご感想のお言葉をお寄せくださり、どうもありがとうございます。(笑)
ほんとに、薔薇の季節ですねぇ。あぶくも様は、どのような種類の
薔薇がお好きでいらっしゃるのでしょうか?(*^^*)
@長谷川 忍
様へ
お読みいただいて、ご感想のお言葉をお寄せくださり
どうもありがとうございます!
静かな…夜に聞くある短いおとぎ話の様な雰囲気と、
このキーポイントになるフレーズとを、対比させて
書いてみました。仕上がりは全体的に線の細い作品なので、
このリアルさが…響くかなとも思いまして。(o^^o)