少年が見た世界
世界は水の中である
それから世界は心臓である
あらゆる兵器が水中である
このたくましい水蛇が湖底に清水の湧く
つつましい火山が絹である
だんだんに高速のアンバランスの鳩が鳴く
このような神秘性が鎌倉の斜面に急降下する
世界はつららのように捕捉される
その快感の轟き、そのめまぐるしいささやき
丹頂鶴の声で神秘の世界にアクセスする
それからの宿題、寝坊する先生の後姿
確実性の曖昧性
それから空の方角が逆転している
パン、パン、パン、何の音
塩辛い岩が叫び出す時には
我々の興味はすでに潮騒である
パス、パス、パス、何の声
静寂の内に目覚めているのは
乾いたベッドに逃げ込むように
それからは静かな午後のティータイムを
パスカルとともに侘びた庭園を歩きましょう
深刻な影絵とともに
世界はこうして曖昧さを手鏡とする
うつしよのうつしよのホラチウス
少年は影絵のように
さびしげだ。
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