箒星

 讃えられるべきものが青春であるならば

 それは軌道をめぐって来る氷と塵の微小天体の様な
 ものかもしれない

 海がのどかに凪いでしまわない内に
 美しい夢も
 ほっぺたゆるむスウィーツの甘みもぬぐい去り
 鋭く 激しく鳴る一本の鉄線の様になりたかった
 つんつんと あらゆるものに向かって反抗し
 荒れていた季節に自分の姿見失って

 長く劇しい感情を忘れゆき冬の夜空見あげて
 私は自分を偽った

 銀杏の若芽を指さしても
 山の姿を指さしても
 ちっとも目を輝かさない少年に
 「そんな時期はすぐすぎるのよ。だから美しい。」
 と 解ったような口をきいた

 私に失われた 稚さへのかすかな
 ねたみ

 背高い少年の面影に
 小さく 私の姿が箒星のダストテイルに広がって消え失せ
 やがて和んでゆく時のおとずれる

 青春って良いものなのだろうか

投稿者

滋賀県

コメント

  1. どの時時も良いものと信じたいです。「鋭く 激しく鳴る一本の鉄線の様になりたかった」ときも、「解ったような口をきいた」ときも。

  2. @北野つづみ
      様へ

     お読みくださいまして、どうもありがとうございます!
     ご感想のお言葉をお寄せいただきまして、とても嬉しく
    思います。m(_ _)m
     はい。本当にそうですね。…。振り返ると何故、
    後悔ばかりなのか…情けなくなる私ですが。良い
    ものと信じて、今を…これからを、生きたいです。(^ ^)

  3. 青春への感傷は、あります。あの頃聴いていた音楽、観ていた映画は、身体に染み着いたまま強烈に残っています。でも、あの時代は、一度きりでいいかな。もう一度やり直したいとは思わないかも、…です。故の感傷であります。

  4. @長谷川 忍
      様へ

     お読みくださいまして、ご感想のお言葉をお寄せいただきまして
    どうもありがとうございます!
     わたくしも、あの頃の自分に戻りたいとは思いません。一度きり
    だから、良いのだと…思えます。鮮明に思い出が残っているのだと。
    (^ ^)

  5. かぐわしくもほろ苦いあの一時期を「氷と塵の微小天体」にたとえるという着想がいいですね…。「鉄線のようになりたかった」もよく分かります。が、周りを見てしまうのですよね、自分も含めて、多くの人は。まぁ、今後に生かすしかないですよね…。

  6. @kishiaki
      様へ

     はじめまして。お読みくださり、ご感想のコメントをお寄せいただきまして
    どうもありがとうございます!m(_ _)m お言葉、感じ入ります。
     投稿なさっておられます作品を、拝読させていただきました。思慮深さと、
    そこには…ご自身のお心と素直に向かわれておられます人間味がうかがえて、
    好感を抱きました。拙い感想で、すみません。(^^;;汗
     今後とも、どうぞよろしくお願い致します。

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