焼き物焼けた
てて親から何かを教えられたことはないと
わが父は言うのだが
焼き物焼けた
800度から900度の間であろうか
焼き物はあかく燃えてそして窯から引き出されて
土の上で冷えて行った
役には立たないこれらのものは
ただ存在していればよいのである
ただこの世の時間の内部で
そのような形を保っていればよいのである
夏のあからさまな光は開口する
比類なき現在のわたしの眼が見るものである
しかも初めての星は輝き初めているだろう
焼けた星のひふが
補陀落の道しるべとなっている
トベラの葉がヤマカガシの眼のような星になっている
ヤカンから水をそそぎこみ
わが喉は垂直に星をのみこんでいる
永遠の蛇の尾をはんでいる
釈迦の説法の時間がまだまだつづいている
カラスは羽を休めて
タンビラの子供たちが西瓜の畑に姿を消した
抑揚をつけてくれ、抑揚は大切である
ハジカミはしばらくの、ハハギヌのしばしまたれよ
とうせんぼうのハッタイコ、当然われわれはハッタイコ
有史以来の血筋の結語である
ハッテンテン、タッテンテン、無始無窮のキタテハチョウ
トロの湖の底はしげしげと
歌うかも知れない
うずもれるかもしれない。
コメント
温度が低めなので楽焼でしょうか。
焼物も言葉も表面感がすてきです。
@たちばなまこと
さんへ、土は楽焼用のものと近くの小田川の泥土を混ぜたりしながら使用しています。「役立たず」をテーマとしていますので、生活の役には立ちません。