鶴橋コリアンタウン
学生の頃 一度訪れたとき
キムチ売り場の匂いと本場の多種多様な商品に
目を見張った
今にして思えば、そこしか立ち寄っていなかった
アーケードの下
慣れない足どりの私達を
とたんにとり巻く、圧
出口だけは確認しておかなきゃと
地下鉄の駅まで戻った
そこは巨大迷路
千日前通りから入って
掲示された案内図で分かった現在地
四班通りに居た 私達は
「え、ここに!?」
お寺も無いのに記されていた卍の印
通路壁から狭い路地へ 入り込む手前で見つけた地蔵尊
貼り紙には事細か記される 今年の地蔵盆の日程
「親善子安地蔵尊やな。この小さな、お地蔵さんが護ってるんやなぁ!」
その隣に 曇り硝子の引き戸が僅か開いたままな
『よあけ食堂』
カウンター席で酔いの回って心地良さげな笑い声
奥へ進むと 三階建てのアパートはどことなし
廃家の様な『きんぎょ荘』
店舗から離れた通りの
さびれたベンチや、一人掛けの椅子とテーブル
そこに放置された市販のお弁当の食べ残しが一つ
目の端に止まって
さっき半分食べた誰かが 席を外しているだけなのか?
「珍しいな!今どき。」
路地の片隅へ 視線を投げる彼のヒトリゴト
コンクリート壁に直接 朱色ペンキで塗られた立小便禁止の鳥居
暑さで歩き疲れた 私のiPadには
一枚の写真も撮られていない
何から見たものを整理すればよいのか
分からずに 鶴橋駅へ足を向けた
頭の中にあったのは
ダンジョンとも言える空間の映像 と、白紙の原稿用紙
コメント
鶴橋の商店街は、何度か訪ねたことがあります。…迷路のような商店街ですね。人間臭い、そんな印象がありました。この商店街をテーマにして、一編、詩を書いたことがあります。
@長谷川 忍
様へ
お読みいただきまして、ご感想のお言葉をお寄せくださり
どうもありがとうございます!
「まち歩き」シリーズとして何作か…これからも投稿して
いけたらいいなぁ、と考えています。
この作品に関しては、ありのままの気持ちで書きました、
こうしか…自分で書けなかった原稿なのです。お読みいただけ
ました事を、大変嬉しく思います!
長谷川様が、この商店街をテーマにお書きになられた作品に、
今とても深い興味を、抱いております!出来ましたら是非とも、
拝読させていただきたいと望んでおります。m(_ _)m