愛妻弁当

 「うまそうやなぁ!」
 いきなり頭上から降って来た補佐の声
 昼休憩時
 開いた わたしのお弁当

 ほうれん草の胡麻和え
 切り干し大根の煮物には出し昆布の千切りまで入り
 かぼちゃの含め煮
 シャケの塩焼きと彩り添えるミニトマト

 「おかず、取り替えてくれへんか?」
 
 そして交換した、大きなエビフライとミニハンバーグ
 綺麗で可愛いオムレツ
 アクセントに苺
 高校生の娘さんと同じおかず

 五十歳を過ぎる補佐は和食のおかずが好みな様で
 それを 伝えられず
 お弁当を要らないとも言えない 優しい夫
 この日
 誰もが思っていた「愛妻弁当」の正体を
 知ってしまった

 誰もが思っていた「愛妻弁当」の正体を知ってしまった

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 最後の繰り返しが、余韻が残る感じで、いいですね。自分だけ秘密を知ってしまった、という落ち着かない気持ちなのか、特別感なのか、補佐の意外な一面を知って、ちょっと嬉しいのだろうか、といろいろ想像を膨らませながら、楽しく読ませて頂きました。リリーさんのおかずの描写が、読んでいてとても味わい深く、和食のお弁当を作りたくなりました^ ^

  2. @ayami
       様へ

     コメントをいただけて、とても嬉しいです!(*´∇`*) どうもありがとうございます。
     日常の、何気ない一コマを思い出して描きました。楽しんで読んでいただけて、
    良かったです。この作品、草野まこと様の「小休止」を拝読致しまして微笑ましく
    思い、私も優しいイメージの面白味ある詩を投稿してみたくなりました。(o^^o)
     お弁当のおかずの描写、ほめてくださって照れくさいです、そのまんま!
    書きました〜。塩ジャケとサワラの切り身どっちにしようか、迷いました。笑ゞ

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