バースデイ
はじまりの海は遠浅で
かなしむことをまだ知らない透明なさかなたち
約束したはずの場所を
ゆききする微熱の波
遠い遠い夢の話
記憶をいくつも交差させて
分かれ道をまどう
ひとりあそび
しのび歩き
たどる糸は宝石ぐらい細い
星をみあげる作業
一連の火影にぬくもりをなぞらえて
ちいさな呼吸をつづる
新しいうつわ
お空の玻璃を
はるかな目的地を
見つめつづけたなら
近づけるかしら
ここが寒くなる前に
とても寒くなる前に
明るさの来る場所へ
旅鳥がさけぶように
歌うことをやめなかったら
幼子のひとみには
虹の色がぜんぶ含まれている
透明な苗木に運ばれる命
どの色を選んでも
いちばん尊い光がいつもそばにあることを
忘れないで
繰り返して
2019.11
コメント
ことばがすきとおっている。
美しく切ない。
そして、どこかさびしい。
祈りのようなことばたち。
幼子のひとみには 虹の色がぜんぶ含まれている というところが響きました。それが失われていくさまも見ているだけに、切なさと共に。
再生への願い(とくに終連から)、伝わります。
再生への願い(とくに大事な感覚の終連から)、伝わります。
いちばん尊い光がいつもそばにあることを
忘れないで
繰り返して
この詩全体を拝読して 救われるような気持になります すてきな詩を ありがとうございます
日常の中ではぼんやりとしている切実を感じました。
>アキラ兄貴
この寂しさはどこから来るんでしょうね。
コメントありがとうございます。
>りゅうさんさん
ありがとうございます。
虹の色は失われてしまったのか、それとも見えないところで見つけてもらえるのを待っているのか。
掘り出してあげたいです。
>服部さん
ありがとうございます。
忘れたくないし、忘れられない感覚があります。再生なのか、回帰なのか。いや、どちらも一緒なのかなあ。
>こしごえさん
ありがとうございます。
たぶんこういう祈りみたいな気持ちが原点としてあるんだと思います。1000年後にも同じこと思っていたい。
た
た、って何だ
>王さん
ありがとうございます。
強弱織り交ぜて日常から滲んでくるような。
そんな感覚なのかなあ。
淡々と、同じリズムで放っていく、呼吸のような水々しいことばですね、自分はできないので浸っています。
>てぃもさん
ありがとうございます。
みずみずしいですか。嬉しいです!