鉢植え

植物の中で夜が育つ
水の名前を呼べば
脈打つ石造りの平原
素の風が間もなく
インク瓶の縁に沿って
眠りにつく
木造の旧家屋その皮膚に
愛していた人
鉢植えだけが増えて
遺伝だよ、が口癖だった
柔らかいチーズを並べると
そこは突き当りとなり
オルガンの背中のように
深夜がやってくる
震える暗闇の中手を探す
いつもと同じ所に
過不足なく置かれている
もう朝を待つことしか
残されていない悲しみと
天井を見つめる目
それでもやはり
待ち遠しいのだ

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