朝顔

ほつれていく声
せめてもの手向けに
ひと、手を振る
朽ちた荷を載せて
船は港を離れていく
その先には何も無い
淀みのない坂道の途中で
あなたはそのように
教えてくれたけれど
保育園のお庭に朝顔が咲いたと
わたしは今年も
言いそびれてしまった
せめて正しい手順の
食事を作りたく思い
記憶と思い出を
取り違えることもあった
生きることは
曖昧な輪郭しかないから
どこかの窓から見ていたのは
いつも外の景色だった
あなたは優しい声をたてて
ひとつ食べた

投稿者

コメント

  1. 生きることは/曖昧な輪郭しかないから
    このフレーズが、本作品の背景に繊細に流れているように思いました。詩そのものが、ひとつの喩のようでもありますね。

  2. @長谷川 忍
    長谷川忍さん、コメントありがとうございます。
    根ががさつな人間なので少しは繊細に生きてみようかな、と、思います。
    痛みがあるわけではないのですが、生きることに違和感を持ったまま、ん十年経ちました。

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