鉄柱

 

 何故か のみすぎた
 吐息をついて
 酔った頭を沈める

 街路灯で 一瞬
 冷たいプラチナが絡み滑っていった電線
 高架橋を過ぎる鉄道の 響きも無く

 連なるコンクリートと
 此方をみて ニヤリと笑った鉄の柱
  (おじょうさん、上からみると世界も変わりますよ。上ってみませんか?)
 そう呼び掛け
 力強く、私を見る

  (おじさん、あたしならもっと上へ行くわ。)
 耳には
 夜風に流れ 遠のいてゆく鉄柱の笑い声

 酔いが 悲しく戻ってきた
 路端に無言で 立ち尽くす自動販売機の
 青白く褪せたライトの色

 少しばかりか ふらつく足もと
 背を正して行き交う人もまばらな駅前へ向かった

投稿者

滋賀県

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