okaeri.com 1-10
1
魚屋の前ではきっと
夕焼けが足りないと
うつ向いてしまうのだろう
2
戻って来た理由もどうでもいいので
僕も
ほんとにくさいと笑って食べた
3
世界の全てが優しさで包まれるように
花束と折り鶴が少しだけ風に揺れる
ように
4
いつまでたっても
「あの頃」
なんて言っている自分もぶらさがっている
5
帰り道でもない道を通って
アパートに辿り着くと
飼い主のない猫に好かれて
6
凸凹配位座はいつでも漂っていて
なにかの拍子に
繋ぎ合っている手のひらの合間にもある
7
ようやく腰を上げた門番は無精髭でにこりとして
十二番目の石から昇る昼と夜のことを詠いはじめた
今も続く詩を
8
そのときはじめておじいの顔つき変わって
おかえりい
いうた気がした
9
どこからか冬越しバッタが飛んで来て
奥の方からうすく漏れる光に
恍惚の目を滲ませていた
10
当たった顔の 谷やんを
誰も見たこと ないけれど
負けても笑う 谷やんの
その顔を見たくて ホルモン屋
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