sayonara.com 11-20

11
明けて静かな正月
少し笑顔の戻ってきた母の顔を見て
また あの青空を思いだしてしまい

12
それから
僕らのパイロット・プラントを吹き抜ける風は
いつでも同じ音になった

13
笛の音
振り返るばかりの僕には
聞こえず

14
お前と違って俺なんかただの
月に吠えるような馬鹿
それでもまだここで生きてる

15
いつものとおりだと泣いてしまうので
美味しいお菓子の作り方で
カレーを作る

16
君を忘れようとすることと
忘れられないと思うことは
キルクルからのかけがえのない風

17
このメニュウ
先生の部屋の座卓に置いてあった
原稿用紙に書いてあったこととそっくりだ

18
あ から ん までのきみのこと
ろくがつ だけが
かすんで る

19
君の知らない街のひとくちのコーヒーは
僕の気持ちを包もうとしたオブラートを
簡単に溶かした

20
君が百本の小説を乗り越え眠るころ
僕は一握の詩の前で童貞のままで
国際色の喧騒にしがみつきながらも
同じ月の夢に ニャー と哭く

 

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