少年

少年

愛される少年
ユートピアの塩が陽に溶けて行く
愛される少年よ
キャベツの葉に包まれたバビロンへ
とおくはてしなく、愛される少年よ
グルジアの大地の陽炎とともに
ぴりかする大地のホスタとともに亡びよ
嫌われる少年
乳首のあたりから銀の鎖がのびている
嫌われる少年よ
ただおとなしく、夜の犬を飼いならせ
墳墓の上にシルクの音楽が
あたたかなミルクのように降りて来る
死んで行く少年よ
耳飾りをわすれずに
おまえの肉体を宝玉の中に沈めたい
死んでしまった少年よ
その肉体をわたしの手に渡して欲しい
アガパンサスの青い花のような
その透き通る肉体を
けれどもすべては、あいまいだ
死を死ともおもわない我々がいる
瓦礫のなかに隠されている肉体のままに
神はおまえを視認する
それとも愛する少年よ
瓦礫の下から神の名を呼ぶ
汚れを知らないおまえのその肉体を
るるとして、ららとして、
わたしは葬るだけなのだから
死んだ肉体の少年よ
その美しい笑顔を
見せておくれよ。

投稿者

岡山県

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