淋しい蛇

明るい空はとても気持ちよく
心は晴れ
今日も かわいい蛇がにょろにょろ
中庭の土の上 たわむれています
そこに さんっ と太陽が照っています

あぁ なんてのどかな昼間
あぁ なんてのどかな時間
僕の脳味噌からうねうね流れる
蛇のような かわいい蛇のような

憂鬱

お父さんがまた自殺未遂しています
自殺未遂しています
どこかで煙草を吸いながら
まずしい詩人が 秋の風にふかれています

憂鬱な まっしろな病棟は今日も
いつも美しいのです
僕はそこに向かってかけてゆくのです
かんかん照りの陽光の下
父さん!父さん!
と泣きながら かけてかけてゆくのです

どこかで煙草を吸いながら
まずしい詩人が詩を書いています
詩人は蛇が好きなのです
いつも蛇の詩を書きます
売れたためしはありません 売れたためしはありません

父さん!父さん!

あぁ、それよりなんて美しい空
蛇がにょろにょろ這う
さびしい そまつな あぁ 楽しさ
楽しさ
父さん!父さん!
僕が泣いています
あぁ、まずしい詩人も泣いています
風にふかれ 病棟の中庭で
生まれてきて すみません すみません
と泣いているのです
泣いているのです

明るい空はとても気持ちよく
心は晴れ
今日も かわいい蛇がにょろにょろ
土の上でたわむれています
そこに さんっ と太陽が照っていました
家族のうら淋しさが照っていました

投稿者

高知県

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