遊離して

濁った空の下で
湯気に包まれたコーヒーを
飲み下すごとに わたしの体は
行き交う人々の速度から
剥がれてゆったり
ひどくゆったりと 歪んだ時間の底
深くへ 沈み込む

テーブルに並べたグリモと
ずたずたのパンケーキ
黙りこくったきみの眼は
硝子のように 澄んでいるというのに
映り込む色のどれひとつとっても
きみの-わたしも-きらいな色

だから いくつか くだらない話をした
なぜだか なぜかわからないけど
ひどく話したかった
きみがグラスを掛けるその前に

湯気がわたしを通り抜けたから
きみが休むのにも疲れたら
どこかへ行こう
どこか うんと遠い所へ
このまま行きたいんだ

投稿者

コメント

  1. “ずたずたのパンケーキ”
    これにすごくズキューンってなりました。

  2. @たちばなまこと
    ありがとうございます!崩れちゃうのがいつもちょっとさみしいんですよね。美味しいけど。

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