gastronome 11-20

　
11
このメニュウ
先生の部屋の座卓に置いてあった原稿用紙に
書いてあったこととそっくりだ

　
　
12
わたしにはぉろしあ人の血が混ざってるのよ
と言って出してくれるぼるしちは
いつもぬるい
　
　
　
13
帰りのカフェで
君を思い出した
つまり　それも　かげろう
　
　
　
14
日焼けあとのしろとくろでは味が違うのだ
違うと思うから何度も
確かめようとしている
　
　
　
15
ポリーおばはんのクッキーの匂いと
メアリーの笑顔が忘れられへんように
結局またこんなとこに戻ってまうねん
　
　
　
16
それでも紅いほうが美味しそうに見える
と、おじさんは卵を取り去った腹に
紅麹をなぶりつける
　
　
　
17
祈りを忘れてしまう夜がいくつもあります
ハンバーガーを食べながら
我が子にその意味を問われました
　
　
　
18
みちたりの実をつけた木の下では
とても佇んでなんかいられずに
ものかけの実をひとつ齧って家へ帰る
　
　
　
19
わかったよ
本当はもうとっくに思い出してるよ
差し出された干し柿はとても甘く
　
　
　
20
見た目にはいい感じ
きれいな肌しとるしプリっとしとるけど
一口食べてどうにも
一日の終わりに気持ちの方だけしょっぱい