夕立

別れは皮膚のあたりが
ひりひりする
トマトのゼリー状のところ
わたしが育てた何か

剥離するその先に
夕立だけの街
手を動かせば
いつも触れるものはあり
その形状も
その名前も
そのわたしも
昔のそら耳に書かれていた

色をなくして
アコーディオンが
壊れたまま
雨に放置されている
降るだけの雨に
歌うだけの空に
落ちるだけのわたしに
委ねないで皮膚の続きを

酸素の中を
泳ぐ夢を見た
目が覚めることも忘れて
わたしはいつまでも
ただ優しかった

投稿者

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。