sayonara.com 61-70
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僕らの明日はどっかにつながってるんだ
さよならなんて言うもんか って
鳴きつづけてぱたりと絵本が倒れるように
62
さよならとくじらが言った(ように見えた)
さよならと機関車も答えた(ように聞こえた)
僕はどちらにも行けるような気がした
63
あ っと
君の声が聞こえたような気がした
それだけで泣いてしまいそうだった
64
子供達が窓に額を押し付けることもなくなり
そうしているうちに
昼でも夜でも消えていくものがある
65
Yさんの口癖を久しぶりに聞いた
嬉しくなるはずなのに昨日はなんだか
寂しくなって帰りはとても早足になった
66
消えそうな声に消えそうな笑顔に
消えそうな全てのもに
耳を澄ませファイヤーバード
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誰ともなく唄い始めたのは
誰かを忘れないためかもしれない
誰かを忘れるためかもしれない
68
思い出を右から左に並べて行く
君が泣けないうちに
先にくずれてたのは僕のほう
69
ときどき縁側の端からこうして
君の こえ を
庭先にこぼしてしまう
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ふりかえるとあたり一面にシャガの花
思い出すひとがいるから咲くのだろう
もう一度ふりかえると祖父の家
明日から空家となる
コメント
たぶん、なかほどさんがやろうとしていることとは全然違うんだろうな、とは思うんですが、ぼくも似たようなスタイルで現代詩フォーラムに書いていたのがありました。「フラグメンツ」というタイトルで、短いのを10篇ずつまとめて。でも、なかほどさんのこれら一連の作品の方が、はるかに一貫した世界観を感じさせるものがあって、こういうスタイルにする意味が感じられますね。
@大覚アキラ
お読みいただき、コメントありがとうございます。
過去のを、くくりをつくって10個ずつ、三行に絞ってだしてます。
もう、そんなに沸いて来ないので、、
そうでなくて、未詩のフラグメンツで出され
てましたよね。それも、いい感じで出せるのはいいな、と思います。