漂流

電子レンジを開ける
中には海がある
波間にレンジが漂っている
泳ぐことは苦手だけれど
意を決し飛び込む
君との二人分の
ご飯を温めたかった
何とかレンジに辿り着き
扉を開ける
おかずをテーブルに並べ
腰かけている君の
背中が見える
いつの間にか細くなって
今にも消えそうな背中
すぐ行くからね
と声をかける
ふと振り返った
君の視線の先に
僕がいるはずもなかった

投稿者

コメント

  1. コメント失礼いたします。
    漂流、ってなんだろうなあ、とずっと考え込んでいたのですが、わからなくて。でも、不安や寂しさや物悲しさや、そんな感じが漂う気がしました。

  2. 溺れかけている自分の目線から見える水平線。
    不安定に揺れる水面の先に浮かぶ君の背中。
    現実から切り離されて波間を漂う自分の姿が、
    行間に浮き沈みしているのが見えるようでした。

  3. @ぺけねこ
    ぺけねこさん、コメントありがとうございます。むかしから、タイトルの付け方が雑で素っ気ないかないかな、なんて感じてます。
    自分だけではないと思いますが、ストレス、とはまた違う、何というか、ぺけねこさんがおっしゃるような日々の生きづらさ、そんなものがあるのかな、なんて。

  4. @大覚アキラ
    大覚アキラさん、コメントありがとうございます。
    おっしゃるとおり、一言では定義づけできないような感情ってありますよね。そもそも感情にもなっていないような、細かな心の断片のようなものって。

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