うすくれなゐの空に

うすくれなゐの空に

まずきみは

ぼくの瞳孔を覗きこむのを

やめてほしい

きみはツンデレなのかどうなのか

はっきりしてほしい

背筋をピンと張って迫り出す

それをやめてほしい

たまに着るタイトなロングスカート

それで体のラインを醸し出すのは

やめてほしい

腰から太腿まで羽織るセーター

それでゆらゆらと波動を広げてくるのは

やめてほしい

でも、この前さ

きみのキラキラした茶色い髪に

白いものを見つけたんだよ

偶然だけど

瞬間、ぼくは胸のあたりが

硬くなって縮こまったよ

ピキッと音が聞こえたよ

それからなぜかわからないけど

体が動かなくなったよ

しばらくぼぉっと後ろから

きみを見ていたよ

微かなオーボエの音が

遠くで聞こえていたよ

夕方のうすくれなゐの空に 

ぼくは吸い込まれそうになっていたよ

投稿者

広島県

コメント

  1. 好きということは、何か音楽を聞く時のように、わたしをうろたえさせる、しかも、世界はそれを知らずに、フルートのように、なめらかに過ぎて行くのだ。 やわらかな絵の前に立つ、わたしの、耳のように。

  2. コメント有り難うございます。たしかに、好きと言ってはいけないゲームさながらですね。感覚器の違いのような世界についていけない自分がいます。

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