心感デッサン7
心感デッサン
2024.1.24
by frogmorton
一億年前
名も無き 岩 は
”ずっと 確かに 存在す”
誰に 誉められる事も
煙たがれる事 すら 無く
地中から 沸き出でし
命の 誕生 から 亡骸 まで
幾度と 走馬灯を 視てきた
何も 語らず 沈黙の まま
夜 蛙 寝入る 頃
梟 の 夜啼き を 聴き
朝は 清流 せせらぎに 集う
渡り鳥の 弾く 水音 を 視
不意には カゲロウ が
三日間 自由に 飛び立つ
姿 を
(もう、明日は ないよ‥)
冷たく 暗い 複眼レンズに
焼き付かれ
此処に 居ると
全てを 悟ったような
錯覚さえも 芽生えるが
本当は 何も 知らず
自力本願 も
他力本願 でも なく
早咲き から 遅咲き の
桜 咲き 散れど
赤子 産まれ 杖を着くまで
寂しい 路を ぽつぽつ 歩いても
其の 感情 感傷 心象 を
味わう 術 すら 無い
しかし
今の わたくしにとって
何れが 本当の 幸福 であるのか 知る余地すら 持てず
岩に 話しかけるのだ
『あなたは どう思う?』
ひとは 様々な
選択 に 成り得る
玲瓏の 波の 奥 の 奥
貝の 様に 潜め
呼吸 乏しく
三猿 の 如し
或いは 性を受けた 生き様を
悠々 自適に 歩く
岩 から
ポタポタ 水が 垂れて
(あなたの、涙なのか‥)
あなたは 自然世界の
親 である
あなたの下には
沢蟹の 親子 が 眠ろうぞ
あなたを 愛し
苔が これ程 むしている
縁の下の 力持ちに 成り
頭上には 原生林 が 茂り
あなたは
さぞや 幸せ だろう と
わたくしは わたくしの
魂 に 願う
触れた 古びし 岩盤が
ぽろぽろ 無惨に 剥がれ落ち
『わたくしも、もはや
お前さんの様に 崩れ落ち 朽ち果てそうだよ』
どうか 我も
あなたの 一部と 成りたい
願わくば 只管
そう想えて ならないのだ‥
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