伝記

食卓に並べられる青い空
本当はお惣菜がよかった
でも白い雲が出てきて
日々の感傷と一緒に
そのことも
忘れてしまった
窓は破れていて
繋ぎあわせればそれは
地図状になるけれど
何かを盗んだ気がするから
最初から世界なんて
なかったのかもしれない
かつて行き倒れたことがある
知らない人に介抱されるまで
道路の舗装が冷たく
身体を支えてくれていた
介抱してくれた人も
道路の舗装も
今はもう短い伝記になって
本棚の隅に置かれるだけになった
雲を掻き分けるように
一艘の飛行機が空を航行する
そのまま沖の方へと進み
声にならない汽笛を鳴らす
かじかんだ手を振ると
その形はいつも
さよなら
に似ているから
さよなら
と呟く

投稿者

コメント

  1. 複雑に絡んだ記憶の茂みから
    一枚一枚葉っぱが落ちていき
    やがて枝ぶりの良い記憶になるのだな
    などと勝手に考えていました。
    >さよなら
    >に似ているから
    >さよなら
    >と呟く
    ああ、私もそうだなと。。。。

  2. @nonya
    nonyaさん、コメントありがとうございます。温かい言葉、ありがとうございます。
    いつかくる、さよならの準備かもしれませんね。

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