量子コンピューター

量子コンピューター

巨大なコンピューターが稼働すると
月の全面を覆った太陽光発電システムが
静かなうなり声をあげるのだ
一番初めに海水がみどり色になる
蒸発した人間は海鳥の卵の中にひそみ
いわゆる幽霊たちの言葉で、アンモニアが
トカゲのような影をひいて、あずき色のメンタリティーを隠す
友よ、ひさしぶりに
凍らせた地球の匂いを嗅ごうではないか
粉末の人間のオクタビアヌスからはじめて
来島のドックから戦艦をひきだそう
やわらかなくるぶしから
人間たちの苦悩というものをトナカイのえさにして
回復する諧謔の兵士たちよ
ものみな蒸発するエネルギーの巣窟で
ここかしこ、みわたせば、はなももみじも、なかりけり
月は計算機の声で僕に答える
ほしくずのオートメーション、そしてそれらも
ナナカマドの紅葉である
ありきたりの計算式でホットパンツを
ぬぎながら、ピーナッツチョコの味で
戦艦は日本海を南へとトリップする
おお、あなたはすでに、ひきぬかれた、バターナイフ
感触はイワダレソウのような悲鳴で
明石の海峡を通過するのです
平静をよそおっている、このわたしは
らいらい艦隊の指揮官です
量子のコンピューターが
わたしを指名したのです
つまりは未来の予測は不可能であり
シロアリの腹の色は
ほのかならいらい色なのです
さわやかな風が吹き、軟弱な地面がゆれる
はっきりと言う、地質学者の朝食の時間に
月はまだ
眼をあけているのです。

投稿者

岡山県

コメント

  1. 坂本達雄さんの詩はやはりかっこいい。しなやかかつ強靭な言葉とイメージ。このようなコメントしか書けませんがいつも楽しみにしています、ということだけでもお伝えしたかった。

  2. @たけだたもつ
    さんへ、コメントありがとうです。風邪気味で調子良くなかったのですが、そんなときには、また別の感覚が出てくるようです。だいぶ良くなってきましたので、散歩にも出られそうです。

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