モノローグ

花を生けずに
花びんに水をはる

絵を入れずに
額ぶちを吊る

そうして 
窓を開け風だけを入れる
北向きの六畳間

雪光る 比良の山陵と
湖の流波に
たゆたう渡り鳥の群れ
潜ったり
水面を羽ばたいて駆けてみたりする
彼らのすがたは
小さく見えて

窓辺に立つ女は
胸の奥ふかくまで吸い込んだ朝の空気を
一匹の 糸を出す蜘蛛のように
吐き切るのだった

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 生け花にもならず、風景画にもならず
    自由に広がっていく意識のあり様が心地よいです。
    結びの「吐き切るのだった」が秀逸ですね。

  2. リリーさん、まるで水墨画のように感じました。
    モノクロームな情景…

  3. @nonya
       様へ

     お読みいただきまして、どうもありがとうございます!(*´∇`*)
     この作品では、創作の最後にタイトルを考えまして。「独白」でなしに、
    「モノローグ」といたしました。
     最終行に、ご注目くださいました事、たいへん嬉しいです!(笑)

  4. @レタス
       さまへ

     お読みいただきまして、ご感想のお言葉をお寄せくださり
    どうもありがとうございます!^ ^ ♪
     この作品は、ちょうど昨年書きました原稿を改訂致しました。
     レタスさまに、情景を味わっていただけて、とても嬉しく思います。(笑)

  5. 花をいけずに花瓶に水をはる、というのが斬新で、引き込まれました。これから新しい1日が始まっていく、決意のような朝の空気を感じました。特に冬の朝は、気合いを入れないと私はなかなか起きられず、外の空気を入れるのはいいですね。窓から山や湖が見られるのは羨ましいです。

  6. @ayami
       さまへ

     返信が遅くなりました!(^^; 汗
    コメントをくださって、どうもありがとうございます。^ ^
     お読みいただきまして嬉しいです。♪
     私も、冬の朝って苦手なのです。超〜寒がりで北の部屋の窓なんて、朝開ける事ないのですがぁ…。この詩を書いていて、開けてみよう!と思いました。(笑)
     作品の出だしが、自分でも気に入っている作品なのです。
     ayami さまの過去作品は、じっくり味わって全部拝読させていただきたいと思っております。(^ ^)
     詩作していたら三連休が…飛ぶように過ぎてしまって。(T . T)
     また明日から仕事です。頑張ります。

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