ある愛
青い空の
広がりにわたしは悲しくなり胸がいっぱいになります。
あの日に去ってしまった あの雲。
そよ風に乗せて、
さようなら、とささやきました
あの雲の亡霊は
わたしと共に自転している
降って来ることはないあの日の雨
枯れた水晶時計の
針はもはや
動きません。
忘れない悲しみは青白く照る
照らされたわたしに影はない
あの日に失われた
この愛は だれにも知られることはなく
無表情に 泣いている
そうして いのちを見つめます
青い空の
広がりにわたしは悲しくなり胸がいっぱいになります。
あの日に去ってしまった あの雲。
そよ風に乗せて、
さようなら、とささやきました
あの雲の亡霊は
わたしと共に自転している
降って来ることはないあの日の雨
枯れた水晶時計の
針はもはや
動きません。
忘れない悲しみは青白く照る
照らされたわたしに影はない
あの日に失われた
この愛は だれにも知られることはなく
無表情に 泣いている
そうして いのちを見つめます
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コメント
愛だけが”この”と、作者に一番近くに感ぜられました。時間の距離は私と自転し、針は動かずおこった事象は”あの”ままだとしても、この愛だけは手のひらの中にあるかのようにいつでも作者だけはのぞきこめるのかもしれない。
王殺しさんへ そう、そうですね、失われた愛。しかし、失われたものが、ここにはある。
王殺しさんのおっしゃる通りです。この詩から、それらを汲んでくれたことが、うれしいです。でも(自分で言うのは何ですが)、もしかしたら、この詩(もっと言えば、この愛)と作者の存在は、悲しい物事なのかもしれません。それでも私は、その時その時に満足しています。
王殺しさんが、ご感想をくれることも、ありがたい。王殺しさんのそのお心へ、ありがとうございます。
作者の内側に潜む喪失感を、想いました。
あの雲の亡霊は/わたしと共に自転している
このフレーズが切ないです。…でも、最終行の、いのちを見つめる、という表現に、作者のかすかな柔らかさを感じるんですね。
長谷川さんへ ああ、作者のその喪失感を、想ってくれたことに感謝いたします。
ん。ああ。そうやってこの詩と作者に寄り添ってくれることを貴重に思います。
うん、そして、その最終行を感じてくれることが、作者にとっての救いだと思います。
長谷川さん、さまざまに、ありがとうございます。
王さんのコメントにもありましたが、『あの日』と『この愛』の対比が際立って感じられますね。
しかし、この愛は泣いているのかと思うと切ない上に、それをさらに客観視するようなタイトルで『ある愛』と。
あぶくもさんへ うん、突っ込んだ鋭い指摘?をありがたく思います。
うん、この詩に出てくる自分というものが多面的というか。たとえば、今思うと、多次元宇宙とかですね。失われたものは、「あの」なんですけどね。
「ある愛」という題の「ある」というのは「或る」というのと「在る」「有る」というですね。ん。まあ、思えば、どうかな、とも言えますが、あぶくもさんのように客観的に見てもらえれば助かります。まあ、これも多面的な世界ですけどねぇ。
うん、あぶくもさんが言ってくれて、あらためて この詩について思うことができました。丁寧に読んでくださいまして、ありがとうございます。
思い出を語る作者の言葉から、誠実さが伝わります。ラスト1行に敬意を感じます。
剛さんへ 作者の語りから、その誠実さが伝わったとのこと。そして、最終行に敬意を感じると言ってくれたこと。それらのことを作者としてありがたく思います。
剛さんがそうやってこの詩を読んでくれて、とてもうれしい。ありがとうございます。
いい詩だなぁ
わにわにさんへ そう言ってくださいまして、ありがたいです。ありがとうございます。