ホスポダでピヴォ

ノクターンの聞こえるボロいアパートの窓から
おしゃもじを振って彼を見送る彼女は
朝ご飯を作っている時にはいつまでもここにいるつもりだった
ひとりの昼ご飯にパスタをゆでている時に
ふと思いついてその日の
パリ経由でプラハまでの航空券を買った

ヤン・パラフのメモリアルに花束を捧げて
ソ連とロシアをごちゃ混ぜにしている彼女は
安倍晴明のファンなので
プーチンは悪玉でゼレンスキーは善玉という
二元論の彼方に沈んでいく
ヤン・ネポに見守られながらヴルタヴァに

カレル橋のたもとで
シュレディンガーの猫が寝そべって
透明な鳩を玩具にしているのを見かける
ハリウッドのイケメン俳優は
撮影に夢中だったから猫には気づかなかった
それより夕べホテルのロビーで見かけた
チェコの女の子が気になる