カルチェ・ラタン

カルチェ・ラタン

夜のメトロ 向かい側のホームで
小さく手を振った 優しい仕草が傷つける
知らないふりで 次の列車の表示を見上げる
ポケットの中に その手のぬくもり

サン・ミシェルの酒場で アルジェリアを空想する
肌を刺す陽射しと 青く乾いた海
長い間ぶら下がったままの ペンキが剥げた看板
それはいつも必ず 映画館の看板

あの頃話していたことを思い出せなくなった
部屋の隅 ベッドの下にでも忘れられているのだろう
シンデレラ城のジグソーパズルのピースがひとつ

そぼ降る雨の街角に前脚をテーピングした猫
瞳を大きく広げて見ているのは
濡れた石畳にひれふする物乞いの手

投稿者

奈良県

コメント

  1. パリの匂いがぷんぷんします。いい匂いです。

  2. 物乞いの手と乾いた海が
    印象的です
    カッコいい

  3. たかぼさん,那津na2さん,コメントありがとうございます.
    秋のパリはたいてい天気が悪くて,日本みたいに紅葉もきれいじゃないし…
    なせいか,人は少ないので,美術館へ行くのにはいい季節です♪

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