たいせつなくつ
『他』について語ってばかりいる人が悪い噂話をしているのを聴いて『異』について語ってばかりいる人が同調し、確かにあの人はそういうところがあると言っているのを聞くと、今度は『世』についてばかり語ってばかりいる人がこう言いました。
「色んな人がいるんだよ。それぞれの思いを踏み躙ることをせず、よく尊重し……」
それを聴いていた今度は「綱』についてばかり語ってばかりいる人が輪をかけて同調し
「そうだよ。世の中は持ちつ持たれつ。押し合い引き寄せ合い、争い合い、バトンを渡し合い……」
それを聴いていた『苦』についてばかり語る人は
「だから、人と人がわかり合うのには時間がかかるのだよ」
とうなづきました。それを聴いていた『つ』についてばかり語る人は
「……っ…….っ…….」
と辛そうに、独り言を呟き続けました。
眺めの中で一部始終を眺めていた人が、こう言いました。
「大切なのは、靴なんだ。よく足元を見て、地雷を踏まず慎重に歩きましょう」
と諭しましたとさ。
コメント
地雷・・・踏まないように地面を見ているつもりで、いつの間にか目を離して踏んじゃうんですよね・・・
@re汀尋
最近は踏むことにも鈍感になってきましたよ。欲がなく希望も無くなってくると楽ですね〜
星新一のショートショートのような詩
他・異・世・綱・苦・つ
考えましたね! 思わず、おお!と唸ってしまいました(#^.^#)
@雨音陽炎
人はどれだけ大切を持っているかで、人間としての資質幅が問われると思います。
何が大切か分からないくらい大切が増えたら、それは沢山我慢して心を開いてきた証。するとネタも豊富になる。
書くことはいくらでもあるし、書こうと思えばいくらでもかける。するとどう書くか? 面白いことを書こうとは。
星新一の名前をあげてくれるのは光栄ですねえ。