Crayon,
俯いたままひとり国道を進む
固いアスファルトがやけに冷たい
生垣に並ぶトベラの匂いが首を絞める
高く綺麗なビルが僕を嘲笑う
焦げたパンみたいな雲が僕を見下してる
酸素が薄いオフィスでみんなが机に向かって肩を張る
使い道のない すり減ったクレヨンを
ポッケの中に 一つ仕舞って歩いてる
自分の色なんて
とっくの昔にわからなくなって
隣の人と同じ色を
いつの間にやら使ってた
よろけて僕は私道に逸れる
柔らかい土がやけに温かい
花壇に並んだクチナシの香りに洗われる
低く古い民家が僕に微笑んだ
わたがしみたいな雲が僕を見守る
緑が降る公園で黄金色の猫は舌を出して欠伸をする
すり減ったクレヨンで 空に詩でも書こう
“赤 さんさん
青 しんしん
白 ぷかぷか
緑 よそよそ
黄 にゃーにゃー
茶 ちゅんちゅん
色に溢れた世界で ひとり吹き口を咥える
そのシャボン玉は何色ですか?”
コメント
詩の前半と後半の対比が美しいですね
特に、
酸素が薄いオフィス〜と
緑が降る公園〜という所で
大人の社会であるオフィスと子どもの社会である公園とが上手く表現されていると感じました
黙読していて、たんたんとした語り口のように拝読しました。
その中で、さまざまな 色 を感じました。この詩の多様性が そうさせるのかもしれません。^^