刃物
冬の石畳みの 陽だまりを愛しながら
時計の針で刻めない
とおい未来から届く昨日を
思い起こしてみる
追いもしない記憶に追われもせず
そこに立ち止まって
年齢を重ねる自分と真向かえば
この肉塊に臓腑が腐敗していくほどの
悔恨を宿していても
それは誤ちでなく
背に負う荷の重さでもなく
ただ 沈黙で、
伏せる目元の黒い睫毛
人ごみで肩をすぼめ人間的な素ぶりしながら
いじ汚く生きている
ココロに絡まり錆びてきた細い鎖は
魂の握るサバイバルナイフで断ち切って
立ちさわぐ寒風になり
空を渡ろう
ナイフは研ぎすませるわけでもなく
次第に悪くなっていく切れ味で、
ちょうどよいのだ
コメント
こんにちは。だんだん年齢を重ねると若い人からどう見られているのか、など気にしたり、古い考えかもしれないから黙っていよう、などと思ってしまうことがあり、共感いたしました。
そんな自分を、3連目のナイフで断ち切る展開がすがすがしく爽やで、最終連で、これでいいのだ、という安心感のような明るい気持ちになりました(^^)
@ayami
さまへ
こんにちは♪ 読んでいただけて嬉しいです。コメントをどうもありがとうございます!m(_ _)m
そうですね……この詩には、現在の私のいろんな想いを込めました。読んでくださった
方によって、言葉の響き方は違っているのだろうと思います。
「魂の握るサバイバルナイフ」とは、決して人へ向ける刃でなく。さまざまな罪の意識の上に生かされている自分自身の、歳を重ねるごとに見えてくる気付きであったり感情の自制で手に取る生命の剪定バサミのようなものかな?^^……。
ayami さまに共感してもらえるところがあって、書いて良かったと思えます。(*^^*)