忘れもの
ないないない
どっかおいてきちゃったのかな
あそんでたのはどこだったっけか
さがしにいかなきゃ
ぼくのたいせつなおもちゃ
あの日あの場所に置いてきてしまった忘れ物
どうにか記憶を辿ってみても
五円玉ゆらゆらダウジングしてみても
警察犬のように鼻をきかせてみても
狐狗狸さんにまかせてみても
まったく思い出せない
だけど
それぞれの場所 それぞれの時間に
それらは
今もきっと
存在している
もう誰に探されることもなく
今もきっと
存在している
幹にへばりつく抜け殻
地に転がる亡骸
夏は僕たちに多くのものを忘れさせてしまう
忘れたことさえ忘れさせ
あったことさえなかったことに
そんな世界で生きている
そんな世界で生きていたことさえ
いつか忘れてしまう
行方知れずの旅人は
旅先ごとに遺失物係を訪ね歩く
まさか自分が捜索願いの対象になっているだなんて夢にも思わない
コメント
夏の終わりは、喪失感、そしてほろ苦さを感じます。探し物を見つけられないまま、人は歳を重ねていくのかもしれません。最終連の、自分が捜索願いの対象になっているだなんて夢にも思わない、というフレーズ、上手いですね。
長谷川さん、ありがとうございます。
もう自分の場合は、なにを探していたのか、何を忘れてしまったのかも定かではなくなってしまったな。もしかしたら既に捜索願い出されてるかもなあ。