線香花火

線香花火

今宵、源氏蛍と平家蛍が集い
1つになって散る加茂川沿い
微かに揺れる瞳の奥に
光る鮮やかな花模様の数々
誰が言い出したのか
線香花火は
パッと輝き色褪せ、消えてゆく人生の様だねって

1つまた1つ燃え上がる度に
あちらこちらで歓声があがる
ロケット花火なんかじゃなくたっていい
ささやかな灯りならばいい
静かな加茂川の土手に
パチパチと控えめな拍手にも似た
音を立てて静かに笑って夜闇に溶けていければ幸せ

ぽとりぽとりと火玉がまた落ちて
風は声をひそめるばかり
何時迄も消えなかったらと誰かの呟き
永遠は森羅万象の営みだけだと
君は笑いながら火玉を見つめる
今か今かと息を固唾を呑みながら
僕はその姿を情景を見ながら
何処か遠くを見つめているんだ

投稿者

奈良県

コメント

  1. 風は声をひそめるばかり

    線香花火の玉の落ちたときのやたら感じる静寂が伝わります。
    あの、あっと声を出しそうになる最後の寂寥が好きです。

    最後の連で二人、というか人の先行きも暗示されているようで、しんみりします。好きです。

  2. 線香花火は パッと輝き色褪せ、消えてゆく人生の様だねって、っていうのはまさにそうなんだなぁと思います。ちょっと前にテレビで花火師さんが、「線香花火は人生をあらわしているんですよ」というようなことを言っていました。

    僕はその姿を情景を見ながら 何処か遠くを見つめているんだ

    この詩に、魅力を感じます。すてき。

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