母・内なる・闇

母よ
私の愛よ
母よ
私の罪よ
聞こえていますか
悲鳴と慟哭
憂愁と困窮
ザクロ色の日々を
歩いていければ良かったのに
足に刺さった茨で冠を
あなたに差し上げます

母よ
我が苦しみよ
母よ
我が憎しみよ
知っていますか
私の内側を
私の中身を
黒い影となって
あなたの背後に回り込み
あなたの闇となって
遠い日々の鬱屈を
あなたへ差し上げます

母・内なる・闇
見えているのは狂人の月
母・内なる・闇
見えているのは狂気の欠片
母・内なる・闇
誰かが見ていた午後の日差し
母・内なる・闇
誰かを殺した後の光
母・内なる・闇
削られたアフロディーテの像
闇と闇と光
光と闇と闇
母・内なる・闇

投稿者

奈良県

コメント

  1. 母と闇の並列がなかなかくるものがある詩でした。光より闇が倍あるのも気になる。

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