天使の葉桜
始まりは
そうだな
主人公の
回想がいい
もう何もかもが
終わったという
ノスタルジア
やけにくらくて
穏やかな
街の遠景
猫がいっぴき
家の中にいて
大きな四角い窓から
外を覗いてる
たぶん野良猫だ
誰にも触れない
それから
バカみたいに明るいBGM
冗談しか言わないが
人を傷つけない
モブと
モブと
モブ
突然家が爆発したり
カーチェイスが始まったり
ひとが殴り合ったり
セックスしたり
抱き合ったりして
気が付いたら
すべてが終わったみたいな
元通りの静寂
時代遅れの喫煙シーン
やけに美しい高層ビルと
スーツのやくざ
そこにいる私は
モップを片手に
太陽がこの星系を
いじしていると
確信を持って
扉を開けて一歩外に出るけど
ト書きには
(自宅じゃない)って走り書きしてある
回想シーンに出てきた
同じ街に日が昇ったりはしない
回想は回想のまま
繰り返し
現実の時間に
フォーカスする
これは映画じゃないと誰かが言う
それから
席を立って
二度と劇場に行かないの
頭に来て
金を払ったことに
ゆらぐ森は
炎のメタファー
やがて来る
本当の破滅に付ける名前を
私は知らなくて
チャンネルを変えるように
人生をスイッチする
あなたはいつまで
ワイドショーみたいな雑談で
残り時間を
無為に過ごすつもりなの
今日も
カップ麺とアルコール
あるいは
高級とかいう料理
何の話だったかな
主人公が誰だったか?
たぶん
恋と
愛と
憎しみと
別れの
哲学だよ
出来上がったら
うまいこと出来てるよな
感を消すために
わざわざ
くすんだマスクをかける
全てに
これはそういう物語
私のお話
あなたがいつか目が覚めた時
夜眠った後も
寂しくならないように
いつか
誰かも
一人だったと思い出せるように
描かれた
一枚の
神の姿絵
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