安らかな茫々

白い牙を覗かせて、
獰猛なうねりが崩れ落ちる
老いた小舟は
海の奈落へ吸い込まれてゆく

ゴオオオーと大波は唸り、
水の壁をふたたび聳え立たせる
曇った空には、
騒ぎ啼く海鳥たちが浮かんでいた

ギイギイと軋み、
船底から水が沁みた

想いは、飛沫とともに沈む
揺らめく砂の丘に、
ささやかな幸福と修羅が埋もれていた

茫々たる日々も、
ふうっ、白砂に横たわる

投稿者

大阪府

コメント

  1. ゴオゴオでギイギイでボウボウ(茫茫)なのですねー白砂に寝そべる坂口安吾を思いましたよー

  2. @三明十種さまへ
    本当はロイ・リキテンスタインの絵画っぽく、ZZZZZZZZ‥‥ とか BOOOOM! とかの描き文字を派手にやろうとしたんですが、さすがにまだ凍ったままのネタが浮いてる回転寿司じゃあダメだろうと思って、とりあえず酢〆にしたり炙ったり湯霜にしたネタ4割、人肌のシャリ6割で5スタンザ=5貫握ってみました。

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