風便り

たゆたう歌は 
いつかの記憶

遠い目をした
うさぎのように

ただ 
耳をかたむけて

春に染まった 
いつもの場所で
緑と黄、藤色たちが
みな
踊りだすのを
眺めながら

とびまわる
あの二羽の蝶のように

やさしい風が今
吹き抜けていった

ああ 
わたしたち
また
逢えたのですね

ふいに届いた
春風の便り

見上げて
ひとり
ほほえんだ

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コメント

  1. たゆたう歌は 
    いつかの記憶

    遠い目をした
    うさぎのように

    この部分は、春の悲しみを含んだような感じですが、
    全体的に見て、春の楽しさを感じます。

    ああ 
    わたしたち
    また
    逢えたのですね

    ここがまたいいですね。

    そして、最終行で、ほほえむところも好きです。

  2. 情景が素敵です。
    足元の緑や黄、山裾にみえる藤の色、たゆたう蝶。。色々と想像が膨らむよう。
    殊更七連目に惹かれ、「続いている」のだな、とふと浮かびました。

  3. @こしごえ
    さま
    このたびは読んでいただいて、コメントもありがとうございます。

    「この部分は、春の悲しみを含んだような感じですが、
    全体的に見て、春の楽しさを感じます。」

    というお言葉、実際そのような心情の移り変わりの中におりましたので
    びっくりすると同時にそう読んでいただいて嬉しく思いました。

    そして ああ わたしたち 
    以下のくだりが
    実はこの詩を書く原動力になりましたので
    その部分も気に入っていただけて、とても嬉しく思いました。
    ありがとうございました!

  4. @ぺけねこ
    さま
    このたびは読んでいただいて、コメントもありがとうございます。

    「情景が好き」
    というお言葉、そして
    「色々と想像が膨らむよう」
    というお言葉、とても嬉しく読ませていただきました。

    (詩人冥利?に尽きると言いましたら、
    少しおこがましいとは思いますが
    そのような気持ちになりました)

    そして

    「続いている」のだな、とふと浮かびました。

    というお言葉にとてもはっとしました。

    私の中では今作は「再会」がテーマだったのですが、
    それがもし続いているのだとしたら
    想像しただけで幸せです。

    ありがとうございました!

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