ミナモ

ミナモ

ミナモは
鏡のように平坦で
いつまでも変わらぬような静けさで
そこにあった

しかし風が吹き
波が立ち上がると一面に伝わり
たちまち
猛り狂う姿になるのだった

だが
まだ明け切らぬ朝の陽や
傾き始めて
少し橙色がかった夕の陽が
さざ波に跳ね返り輝く様子は
光の妖精達の
はじける笑い声だった

陽が沈む頃には
ミナモはまた口を閉ざし
ただ月光が
湖岸の草影を不気味に映しているのだった
それは深い 深い水底に潜む
恐怖を映す鏡でもあった

ミナモ
それはとても
ココロに似ていた

投稿者

愛知県

コメント

  1. 美しい。写真も詩の言葉ひとつひとつも。美しすぎます‼️素敵。

  2. あぶくもさん。ありがとうございます。写真は上高地で撮ったものです。

  3. たかぼさん、上高地、最高ですよね〜。
    いいな〜、また行きたいなぁ。

  4. 素敵な写真!素敵なことば。
    こんな世界が見えているのですね。

  5. たちばなまことさん。温かいコメントありがとうございます!

  6. 朝もやのまさに絵画のような切り取り。ここに立っている気分が味わえました。
    ミナモはまさに女性の名前のようで湖面を見つめているようで僕らはこの詩を読んで女性を見つめているのだなぁ。
    女ココロと上高地

  7. ミナモ
    それはとても
    ココロに似ていた

    詩の全体の姿が最終連に集約されていますね。
    水、というと上善は水のごとしという言葉を思い出します。すこし ちがうかもしれませんが、ある種、この詩からも、そのような水のおもむきを感じます。すてき。

  8. 王殺しさん。女心と秋の空ならぬ上高地ですか。上高地の水面からは相当に美しい女性を連想いたします。

  9. こしごえさん。最終連に全てが集約されていると言ってくださってありがとうございます。平静、怒り、笑い、不安、そういった心の動きを読んでくださったと思いますので。

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