あめつち
天翔る四季に翻る
先祖返りの半月の
気狂う虚数の位に
ほろほろ石は降る
古傷にいじらしく
雨打たれつつ蛭蛙
黄泉帰りの星宿に
見知らぬ人の姿で
葉擦れに泪を重ね
道連れに歌を詠む
地続く沙汰に跪く
神々の恐ろしい足
骨々の空しい音よ
雄弁なる嘘を積み
罪深き孵化を待つ
土に埋れて華開く
闇夜に浮世は瞬き
紅塗る子供は囁き
明日は鴉を呼ぶ嵐
或いは嵐に舞う鴉
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.076: Title by いしわたとうじ]
コメント
まず、きちっとした連の連なりが目に飛び込んできます。その連なりは、おそらくとても計算されてあるのでしょう。
そして、あめ(天・雨)とつちに現れた世界の物事が、一つの もしくは多様な連なりの歌となっています。これは拝読していて、心地好い響きを持つ歌ですね。詩の可能性を広げている詩(うた)。すてき。
四角いのキタ〜。モノリス師匠、流石だなあ。8×5×4=160文字で、音や意味の連なりがイメージを増幅させる様は圧巻ですね。
天→雨、地→土、
翻る→蛭蛙→先祖返り→黄泉帰り、
葉擦れ→道連れ、神々→骨々、
降る→古、積み→罪、瞬き・囁き、、、
あー、もう拾い切れん(笑)
定型の中に、情感がぎゅっと凝縮されています。緊張感があります。最終連、魅かれました。嵐を前後にした鴉の、様。
明日は鴉を呼ぶ嵐
或いは嵐に舞う鴉
音に変換した時のやわらかいものがはりつめた感じが、緊張するけれど心地よい、またききたい気持ちになりました。