
残業
“神は信じられて神になるとはいうものの”
彼は立ち寄った喫茶店で親兄弟と配偶者、子供の顔を思い浮かべ、渋面を作った。
“この世の間違いを決めるのが自分という立場で、その子供たちを支配下に置くなら”
彼はしなびたサンドイッチをかじった。飲み干せない程苦い珈琲を飲み干した。
“神には痛みがあるべきだ 苦しみがあるべきだ、悲しみがあるべきだ”
“謙虚さが必要だ ある種の畏れを必要とされるべきだ”
“恍惚とした表情で自分の創作物を眺め そこになんらの非も認めないのであれば”
彼は思った。それから地面に自らに映る神の絵を描いた。子供達はその絵を見て
意味を求め、言葉として後世に伝えることにしたが、彼も本当は何も知らないのだ。
“私の背にあるのは何処へ導くための翼だったのか”
“約束を果たすことと、人を裏切ることは、時に同時に起きる”
午後七時、暮れ切らない都会の夜景は、何の啓示も彼に見せてくれなかった。
“望むと望まざるとに関わらず”
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