みたいもの

深夜、家を出る。
第一京浜に降った雨はアスファルトを覆う重油みたいだった。
ペトリコールと排ガス、赤信号と救急車のサイレン
どれも私を救わない。
わたしは少し疲れてしまった
起きて、食べて、将来とやらのための労働
そんなものと遠く離れてただ
見たいものを見たかっただけなのに
知りたいことを知りたいだけだったのに
自分の無能さなんて見たくなかった
耐えられずに溺れた酒の味なんて知りたくなかった
研究所のIDカードが揺れている
誇りでもあり、値札でもあるその一周期と
ドアノブとネクタイが重なって見える
なんだか難しそうだなと
生死の紙一重を選択し続けている
明日も早いからね
そろそろ帰って寝ようか

投稿者

東京都

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