繰り返される 繰り返されない物事
いのち
「いのちは原初から欠けている」
と繰り返し言ってきた。
「いのちは欠けているから
いのちは何かを
求めるのである」
とも繰り返し言ってきた。
何を求めるのかいのちは
もしかしたらいのちは
いのちを求めているのか
宇宙は永遠から生まれ
宇宙は永遠へ帰るのか。
「私の魂といういのちは
宇宙の魂とつながっている」
と繰り返し言ってきた。
繰り返される
朝
挨拶
お礼
ごはん
おふろ
雨など
繰り返される
愛
いのち
死
繰り返される 繰り返されない物事
同じ物事があるとしても
同じ物事は二つと無い
かけがえのない一つ一つ一人一人
あなたも私も
コメント
「価値というのは、欠けている何かだ。たとえば月が欠けているとすれば、価値というのは月が光っているところではなく、欠けているところに宿っている」。
こんなことを、某作家が語っていました。こしごえさんの詩を読み、久し振りに作家の言葉を思い出しました。
@長谷川 忍
さんへ その作家さんの言葉は興味深い言葉ですね。うむ、価値というのは 欠けているところに宿っている、とはおもしろいです。
長谷川さんが、その作家さんの言葉を私の詩から思い出してくれたことを貴重に思います。
うん、ある言葉からある物事を思い出すことってありますね。忘れていたことを、あるキッカケで思い出す。
長谷川さんが、それらのことを私に伝えてくれて、ありがたいです。ありがとうございます。
一行一行が簡潔で引き締まって、快速で読み進められます。冒頭の「いのちは原初から欠けている」では、何が欠けているかが明示されないので、却って想像力が膨らみます。「と繰り返し言ってきた」という繰り返しも何となくウィットが利いていて楽しいです。最後の方では、朝や挨拶といった軽いものから始まって、最期は愛といのちと死に行き着くところに深まりを感じます。そして最後の五行で重々しい内容を軽快に着地する。ステキです。何だかエラソーに言ってすいませんでした。飽くまで私の抱いた印象でした。
@佐藤宏
さんへ 佐藤さんが、とても丁寧にこの詩を読んでくれたのが分かります。そして、それらのご感想も丁寧に書いて、私に伝えてくれたことを貴重に思います。
佐藤さんは、私がこの詩であえて描いていない部分を想像してくれましたね。その上、楽しみながらも読んでくれた。深まりも感じてくれた。
佐藤さんがそのようにこの詩をさまざまに味わってくれたことをとってもありがたく思います。ありがとうございます。
詩とか絵とか音楽などは、受け取る側の鑑賞者が自由にさまざまに感じたりして味わってくれる方が、作り手もうれしいのだと思います。