風景の終わりに
冷蔵庫が音もなく
坂道を転がっていく
薬屋の坊やがその様子を見て
花の名前を口ずさむと
雲ひとつない青空は
木々の亡骸を歌う
むかし此処いらに
小さな書店があったことなど
思い出す人もいなくなった
電信会社の作業員の汗が
舗装に落ちて蒸発する
循環しまた誰かの汗になる
昼寝をする微かないびきは
飛行船の浮力
午後の話をしながら
次の夢を目指して消えていく
終わりのない坂道を
どこまでも
冷蔵庫は転がり続ける
風景の終わりに
小さな夕暮れがある
コメント
ある意味、終りが無いということは絶望です。ある意味、終りがあるということは救いです。そう思います。この詩には、それらの両方があると思います。
そしてこの詩の最後は、絶妙な終わり方をしているなぁ、と感じます。
@こしごえ
こしごえさん、コメントありがとうございます。
こしごえさんこコメントで彦星と織姫の話を思いだしました。
一年に一度会える、それは救いかもしれませんが、それが未来永劫続くというのは絶望なのかな。
@たけだたもつ
たもつさん、私の思いと向き合ってくれて ありがとうございます。
たもつさんの その思いが 貴重でありがたいです。拝礼 (^-^)