プラハ
城の広場の片隅で
なすすべもなくヴァイオリンを弾いている
餌をくれるんじゃないかと
鳩だけが集まってくる
老人は長年勤めた役所から自由になった
巨大な甲虫は目立たぬよう息を潜めて
いつか脚を広げて飛びたてる日を
古びたホスポダで飲む一杯のピヴォだけを生きがいに
トラムのレールを戦車が踏みつけた
嫌な匂いの煙が漂う街は
少年の頃の祭りにも似て
小さい女の子が
遠慮がちに置かれたケースに
握り締めた20コルナのコインを落とす
城の広場の片隅で
なすすべもなくヴァイオリンを弾いている
餌をくれるんじゃないかと
鳩だけが集まってくる
老人は長年勤めた役所から自由になった
巨大な甲虫は目立たぬよう息を潜めて
いつか脚を広げて飛びたてる日を
古びたホスポダで飲む一杯のピヴォだけを生きがいに
トラムのレールを戦車が踏みつけた
嫌な匂いの煙が漂う街は
少年の頃の祭りにも似て
小さい女の子が
遠慮がちに置かれたケースに
握り締めた20コルナのコインを落とす
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コメント
素晴らしいチェコ旅の風景ですね。ヴァイオリンってところにヨーロッパらしさを感じます。
プラハの歴史、バスカーの人生、バスカーにお金を払う少女が、時の流れを感じさせつつ前を向いて進むイメージが印象に残りました。
形式的には日本のソネットで無理のない書き方は起承転結に深みを感じる。
ひとつひとつの描写の裏に人間愛が溢れているからなのかもとおもいます。
プラハの春を越えて、美しい町は美しい季節を過ごしているのでしょうか。
コインを遠慮がちに入れる少女の描写と戦車の記憶の対比がすばらしいと思います。
あぶくもさん
ヨーロッパの街は,どこに行ってもバスカーの人がいますね♪
すごく上手で,前にCDを並べていたりするセミプロみたいな人たちもいるけど,
素人さんなんだなあ,と思える人のほうが,その人の背景とか,境遇とか
想像できて好きです.20コルナ,のところでちょっと頭をひねりました.
自分だったら,旅行者だし,変にかっこつけたりするところもあったりして
紙幣を入れるところだけど,小さい女の子だったらどうなんかなあ,みたいな.
足立らどみさん
うれしいコメント,ありがとうございます♪
遠い昔(?),中也や道造から詩に入ったので,どうなんかなあ,と
ずっと思いながら,ソネットから逃れられないでいます.ここんとこは,
詩から離れて和歌や短歌を作っていたので,定型,にますますはまりこんで
いたりするんです♪
王殺しさん
こわいお名前ですね♪
あたしはトールキンの大ファンなので,王様と言うと,エレサール王のことを
思い浮かべてしまうんですけど….
プラハは,ヨーロッパでは一番好きな街です.パリもいいけど,ちょっと鄙びた
感じがするところが,イナカもんのあたしには波長が合うんだと思います.
それと,食事にしても交通機関の運賃にしても,すごく安いし,なんといっても
ビールが,日本でいうなら水みたいに安価でおいしい♪